今回、アルバムの制作前に二人で読んだ小説がある。太宰治の「走れメロス」だ。
「俺はこういう気持ちでレベル・ファミリアをやってるんだ。読んでみてくれ…」ーーーーーーー
ゴス・トラッドに出会った頃から、かなりの間、ヤツのミキサーには『TRUST NO ONE』(誰も信じない)と
大きく書かれたステッカーが張って あった。
俺は初めてそれを見た時ショックを受けて、ヤツがそこに至るまでの道のりを思うと共に、
二人しかいない唯一のメンバーとして「いつか俺の熱で、こいつのこの凍った気持ちを溶かしてやろう」と心に誓ったものだ。
実際、音楽を共に作り上げていくパートナーとしては、それまで俺が経験した事のない、
メンバーの俺すらも潰しにかかるかのような、強烈な音の威圧と、どこか傷ついたような、
ある種の閉ざした雰囲気があって、何より俺の音には合わせようとしなかった。
俺もまだまだ発展途上。精進しなくてはいけない事も山とある。偉そうに言って聞かせるつもりもなかったが、
若きゴス・トラッドの才能に惚れ込んでいた事もあり、ほんの少しだけ長く生きてきた分と、
レゲエという音楽で培ってきた経験とで「音楽とはこうでなければならない」と、一つ思うところがあった。
それはこうだ。
「音楽におけるぶつかり合いとは、決して潰し合いではなく、お互いを信じきり、
全てを受け入れた時に初めて感動のある音が生まれる」ーーーーーー
結成から6年が経った。
二人っきりで日本中を駆け巡り、数え切れない程のライブをやってきた。
ファースト、セカンドと「世界中どこにもないだろう!」と今でも胸を張れる本気のぶつかり合いを音に記録してきたつもりだ。
そして、今作。ーーーーーーーー
俺は今、特別な感情に満たされている。このアルバムで、やっとコンビとして一つになれたのだと思っている。
ここからが、レベル・ファミリアの本当のスタートだと思っている。
思えば、これまでの俺の6年間とは、ゴス・トラッドに受け入れられる為に費やした6年だったのかもしれない。
今、俺には一つの光景が見えている。
俺達二人のグルーブが一つとなり『GUNS OF RIDDIM』(リディムの要塞)として大きくそびえ立つ姿だ。
信じ合うという事が、どれだけのエネルギーを放つのかという事を、証明してやろうと思っている。
今俺達を信じて、期待してくれているファン達を、誰もが経験した事のない特別の高みに、
俺達と共に連れて行ってやろうと思っている。
ゴス・トラッドのミキサーに、もう『TRUST NO ONE』の文字はない。
今はただ、二人で静かにステージに立つだけだ。ーーーーーーーーー
rebel familia 秋本武士